2015/11/19

【特集】「もい!」気持ちを伝えるデザイン。~Moikoデザイナーインタビュー

グリーティング(挨拶)は、「つながり」を生む、はじめの一歩。
グリーティングを意識したデザインを手がけるMoikoとは?
彼女たちが目指すデザインプロダクトとは?



今年もまた、秋から冬にかけて数多くの北欧関連イベントが開催されています。10月末から名古屋で行われている「TRAVELLERS in 北欧オータムストリート」は、北欧4ヶ国のショップやブランドが並ぶ屋外型イベント。そのTRAVELLERS in 北欧オータムストリートに参加、初来日を果たすフィンランドのブランド「Moiko」の二人に話を聞きました。


アアルト大学で出会った仲良し
実用的で意味のあるデザインを


「Moiko」は2010年、アヌ・サーリとマリ・ヘイノンマキの二人によって立ち上げられたブランド。アヌは2003年より、サーフェスデザインやテキスタイル、インテリアのデザインを数多く手がけてきました。Finlayson、Jokipiin pellava、Luhta Homeといったフィンランドの会社で働いた経験があり、フィンレイソンの“考えるパンダ”のモチーフで人気の「Ajatus(アヤトゥス)」でも知られています。2009年からは、Luhta Homeの主要デザイナーとして活躍。タオルやクッションカバー、カーテン、ベッドカバーにいたるまで、シーズン全体のコレクションを手がけています。

マリは2005年からフリーでテキスタイルデザインに携わっており、個人のものからLuhta Home、Verso Design、Keskoといったフィンランド企業向けのインテリアプロダクトをデザインしてきました。彼女はオーストリアのデザインスタジオにいた経歴もあります。

テキスタイルでつながっている二人は、どんな経緯で「Moiko」を立ち上げたのでしょうか。
出会いときっかけはアアルト大学。自分たちで作ったものをデザインマーケットに並べて出展してみたところ、二人の商品の売れ行きがよく、共同で販売をスタート。一番人気のアイテムは、アヌがデザインした「グリーティング・ミトン」だったそうです。

大学卒業後、それぞれの道でデザインのプロフェッショナルとなるべく経験を積んだ二人は自分たちの会社を設立。実用的で意味のあるもの、自分たちの価値観を伝えられるものをデザインすることにしました。


生まれたての赤ちゃんも帽子やミトンでごあいさつ。


Moikoのプロダクトで、
グリーティングの大切さを伝えたい


アヌとマリにとって「グリーティング(挨拶)」というのは、とても重要なファクター。シンプルな方法ですが、他人への思いやりを表現することができるからだそうです。挨拶は相手との「つながり」を生む、はじめの一歩。「Moiko」ではそのグリーティングに着目したプロダクトを作っています。

たとえば、大学時代に参加したマーケットでも人気だったという「グリーティング・ミトン」。いろんな言語の挨拶の言葉をあしらったミトンです。「交流したり、つながったりする手助けになれば」と考えられたユニークなミトン。生まれたてのベビーから大人まで、幅広いサイズが揃っています。窓越しや自転車、自動車から声が届かない状況でも、グリーティング・ミトンを着けていれば、「もい!(こんにちは!)」と気持ちが伝えられるというわけです。

また、グリーティングシリーズにはリフレクターも揃っています。フィンランド人の約50%がリフレクターを着用。フィンランドの暗い時期には欠かせない大切な救命アイテムです。毎日使えて、機能的で美しく、笑顔をさそうプロダクトを作っています。


いろんな言語をあしらったユニークなリフレクター


このようなデザインにした理由は、いろんな言語での挨拶を学ぶきっかけになってほしいという目的もあります。ワークショップを通じて挨拶の大切さを伝えていきたいという二人。デザインするときに大切にしていることは、世界に向けてメッセージを発信できるもの、メッセージ性のあるプロダクトであるかどうか。

現在はミトンやリフレクターといった寒い季節を意識したラインナップですが、来年には夏向けのプロダクトも作る予定。さらには、ワークショップや新しいプロジェクトにも注力していきたいとのこと。

昨今、注目が集まる北欧のデザインやライフスタイルですが、日本人を魅了する理由は何だと思いますかという質問に、「そうですね、デザインで言えばシンプルであることや色づかいでしょうか。あとは、志を同じくする人とのかかわり方、とか」という答えが返ってきました。

人とのかかわり方。ここにもMoikoらしい言葉が出てきました。挨拶やコミュニケーションという形のないものを大切にする考え。心の奥底にある精神性に惹かれあうのかもしれません。フィンランドでも日本のデザインや文化、ライフスタイルに興味のある人がたくさんいるそうです。


小さいお子さんがいるマリさんとアヌさん。仕事中もよく子供の話になってしまうとか。


「日本の皆さんにお会いするのがとても楽しみ。お友達も作りたいです。日本食や温泉も楽しめたらいいなと思います」と、初めての日本にドキドキの二人。

名古屋のTravellersでは、11月21日から23日まで3日間のワークショップを開催。東京にも数日滞在予定で、「東京の雰囲気や生活リズムも体感したい。きっと特別なものになるでしょうね」と話していました。


Moikoホームページ http://www.moiko.fi/
<Moiko初来日>
TRAVELLERS in 北欧オータムストリート開催中
2015年10月31日~11月23日 http://www.travellers.voyage/
※Moikoワークショップ 2015年11月21日~23日

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