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【映画】伝説的映画監督の聖地フォーレ島で現実と虚構を彷徨う――映画『ベルイマン島にて』(4/22公開)




2022年は北欧映画の劇場公開が続きます!4月22日からは、20世紀最大の巨匠イングマール・ベルイマン監督が愛したスウェーデン・フォーレ島を舞台に繰り広げられる映画監督カップルのひと夏の物語『ベルイマン島にて』が公開されます。

スティーヴン・スピルバーグやマーティン・スコセッシといった、今日の巨匠と呼ばれる映画監督たちに、多大な影響を与えたスウェーデンの映画監督、イングマール・ベルイマン。

彼の熱狂的な支持者の一人であり、『未来よ こんにちは』でベルリン国際映画祭銀熊賞に輝いたフランス出身のミア・ハンセン=ラブ監督が、ベルイマンの原風景と言われるスウェーデンのフォーレ島を舞台に作り上げました。ベルイマンの数々の傑作が生まれたフォーレ島の本人が晩年を過ごした自宅や本人ゆかりの品々などがたっぷりと収められた作品になっています。



美しいフォーレ島の魅力に釘付けに!
異空間を行き来しているような描写にも注目。


ストーリーは、ある映画監督カップルのクリスとトニーが、アメリカからスウェーデンのフォーレ島へとやって来るところからスタート。創作活動も互いの関係にも停滞感を抱いていた二人は、敬愛するベルイマンゆかりのこの島でインスピレーションを得ようと考えていました。

すでに映画の世界で名を挙げている夫トニーに比べて、まだ若いクリスは、なかなか執筆が進まず、トニーに依存する部分もあり、心晴れずにいました。そんな彼女は、“1度目の出会いは早すぎて2度目は遅すぎた”ために実らなかった初恋を投影した脚本を書き始めることに。結末が思い浮かばず苦悩するクリスですが、島が醸し出す雰囲気に、ある“魔力”が作用したのか、次第に解き放たれていきます。

若き監督のクリスと歳の離れたパートナーで名監督として人気を誇るトニーという設定は、ミア・ハンセン=ラブ監督自身と、『パーソナル・ショッパー』でカンヌ国際映画祭監督賞を受賞した、かつてパートナーだったオリヴィエ・アサイヤスを彷彿とさせます。



ベルイマンの聖地とされる美しい島の魅力がたっぷりと詰まったフォーレ島を背景に展開される監督カップルの物語と、ハンセン=ラブ監督本人の影が見え隠れする映画内で展開されるクリスの脚本として紡がれるもう一つの物語という、現実とフィクションが幾重にも重なり、次第にその境目がぼやけて、異空間を自由に行き来しているような描写がユニーク。物語を魅力的に仕上げています。

ベルイマン作品を随所に感じさせるフォーレ島の空気や景色など、島の魅力がそこかしこに映し出されるだけでなく、人々にとてもオープンに開かれていることにも驚き。島を自由にサイクリングしてみても良いし、じっくりとベルイマンとゆかりの地を巡るガイドツアーの説明を聞いたりして過ごしても良し、羨ましくて心を奪われ、何日か滞在してみたくなりました。





敬愛するイングマール・ベルイマンゆかりの
刺激と解放感に満ちた島で書かれた作品。


ミア・ハンセン=ラブ監督は、現在アーティスト・レジデンスとして開放されているベルイマンの自宅等含む「ベルイマン・エステート(※)」の制度を使い、2010年代の半ばから、ひと夏ごとにこの島に滞在、ベルイマンの世界を背景にフォーレ島を訪れたカップルについての物語を思いつき、『ベルイマン島にて』の準備と制作を進めてきました。

フォーレ島を選んだ理由はベルイマンの影響から。ハンセン=ラブ監督は、10年ほど前から、ベルイマンの作品や人生に傾倒し、この島に強く惹かれるようになったとか。



この島で、代表作のいくつかを監督し、人生の最後を過ごしたベルイマン。監督自身の知る限
り、ベルイマンと直接関係のある脚本に取り組んだのはハンセン=ラブ監督だけだそう。ここで監督は、ベルイマンの存在感に圧倒されることなく、刺激を受けながら、この映画の大きなテーマである「解放感」というものを表現できたといいます。

自分が映画の中にいるような感覚になる、そんな“ベルイマン・マジック”を感じることができそう。『ベルイマン島にて』は、4月22日(金)より、シネスイッチ銀座ほか全国順次公開!

※ベルイマン・エステート
仕事やインスピレーションの場として、世界中の芸術家、学者、ジャーナリストらに向けて開放された施設。4軒の家と1軒の映画館から成る。そのうち、ハマーズにある本館は、イングマール・ベルイマンの個人宅と仕事場だった。ベルイマンの死後、彼の理想に従って、フォーレ島の自然と文化、歴史と住民を尊重し運営されている。申請時に文化的・芸術的な貢献でコミュニティへ還元する方法をプレゼンし、申請が通ると無料で宿泊施設に滞在することができる(滞在期間は2週間以上2ヶ月以内)。申請するプロジェクトは、ベルイマンの仕事に関連している必要はないとのこと。

【イングマール・ベルイマン】(Ernst Ingmar Bergman:1918-2007)
スウェーデンの映画監督。『第七の封印』(56)でカンヌ国際映画祭審査員特別賞、『野いちご』(57)でベルリン国際映画祭金熊賞、『処女の泉』(60)と『ファニーとアレクサンデル』(82)でアカデミー賞®外国語映画賞を受賞。神、生と死、愛と憎しみをテーマに人間とは何かを問い、映画史に永遠にその名を刻む伝説的存在。



ベルイマン島にて

監督・脚本:ミア・ハンセン=ラブ
出演:ヴィッキー・クリープス、ティム・ロス、ミア・ワシコウスカ、アンデルシュ・ダニエルセン・リー
原題:BERGMAN ISLAND/2021年/フランス・ベルギー・ドイツ・スウェーデン/英語/113分/カラー/スコープ/5.1ch/日本語字幕:平井かおり
提供:木下グループ
配給:キノフィルムズ
後援:スウェーデン大使館
https://www.bergman-island.jp/

© 2020 CG Cinéma ‒ Neue Bioskop Film ‒ Scope Pictures ‒ Plattform Produktion ‒ Arte France Cinéma

2022年4月22日(金)、シネスイッチ銀座ほか全国順次公開



(2022年03月30日更新)
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