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【映画】雰囲気の異なる北欧作品2本!コンペ部門を賑わすか?第32回東京国際映画祭(10/28-11/5)



左から、中島かずきさん、山田洋次監督、手塚眞監督、足立紳監督


10月28日(月)より、第32回東京国際映画祭が開催されます!ライナップ記者会見では、コンペティション部門をはじめとする全上映作品、さらには、期間中に実施される様々なイベントや企画の紹介がありました。同映画祭で上映される作品を手がけた監督たちも登壇。見どころや製作エピソードなどを披露してくれました。その模様をお届けします。

コンペティション部門14本中、
北欧の作品が2本も登場!

同映画祭では、北欧作品がここ数年コンスタントにコンペ部門にノミネートされ、受賞を果たしています。今年はなんと、コンペ部門14本中2本が北欧生まれの作品となりました。


上映されるのは、『わたしの叔父さん』(デンマーク)と『ディスコ』(ノルウェー)。さらに、昨年『氷の季節』で審査委員特別賞と最優秀男優賞を受賞したデンマークのマイケル・ノアー監督が、今年は審査委員の一人として東京国際映画祭に参加(北欧色濃い!)。国際審査委員長を務めるのは、幅広い役柄で世界的に活躍、透明感のある女優として日本でも人気のチャン・ツィイー。


マイケル・ノアー監督

コンペ部門の解説は、東京国際映画祭の“名物”ともいえる、リズミカルでわかりやすい解説で知られる矢田部吉彦プログラミング・ディレクター。ヨーロッパから中東、盗難アジア、日本と、世界各国を旅するように、映画の楽しみを膨らませてくれます。

『ディスコ』(ノルウェー)※アジアン・プレミア

監督:ヨールン・ミクレブスト・シーヴェシェン
2019/93分/ノルウェー語、英語/英題:Disco
激しいディスコダンスの大会で優勝を続けるミリアム。しかし出生の秘密に悩み、ミリアムがスランプに陥ると、さらに家族は深く宗教に傾倒していく。欧米白人社会において人々が極端なキリスト教にのめりこむ現象を、少女の視点でシャープかつ個性的な青春映画。
© Josefine Frida photo by Jorgen Nordby, Mer Film

『わたしの叔父さん』(デンマーク)※ワールド・プレミア
監督:フラレ・ピーダセン
2019/105分/デンマーク語/英題:Uncle
姪は体の自由が利かない叔父の面倒を見ながら、二人で小さな農家を営んでいる。家畜の世話をしながら黙々とした日々を過ごすが、姪には獣医になるという夢があった。姪の選択に胸が締め付けられる美しい愛の物語。
© 2019 88miles


手塚眞監督(左)と足立紳監督(右)

オープニングは『男はつらいよ』最新作。
コンペティション部門に邦画も2本選出!

今年のオープニング作品は、東京国際映画祭チェアマンの安藤裕康氏も楽しみにされているという山田洋次監督の『男はつらいよ お帰り 寅さん』。その山田洋次監督と、コンペティション部門に選出された2作品の邦画『ばるぼら』の手塚眞監督と『喜劇 愛妻物語』の足立紳監督。さらに、新部門「The Evolution of Japanese Animation/VFX」で上映される、応援上映で人気の『プロメア』の脚本を手がけた中島かずきさんが登壇しました。


© Barbara Film Committee

まず、手塚眞監督の『ばるぼら』は、父・手塚治虫原作の“映画化不可能”と呼ばれた愛と狂気の物語が、手塚治虫生誕90周年を記念して初映画化されたもの。主演は稲垣吾郎さんと二階堂ふみさん。稲垣吾郎さんは昨年も上映された『半世界』の主演を務めており、出演作が2年連続もコンペ部門に選出されています。

キャスト決めの時、いろんな俳優さんにオファーをかけたそうですが、他の俳優たちは躊躇。稲垣さんと二階堂さんの二人がやりたいと言ってくれたというエピソードを披露。


© 2020 『喜劇 愛妻物語』製作委員会

足立監督の『喜劇 愛妻物語』は、自伝的小説の原作を映画化。売れない脚本家と、夫に悪態をつき続ける恐妻が繰り広げる夫婦の物語。夫役は濱田岳さん、妻役は水川あさみさん。足立監督は、自宅での自分と妻の様子を実際に見たほうが早いと思ったそうで、主演の二人を自宅に招待。本読みをして、思いっきり罵倒してくださいと水川さんに伝えたとか。監督の期待に見事に答えた水川さんの迫力ある恐妻ぶりは見どころだそう。

また、新部門として日本のアニメや特撮映画を世界に紹介する「The Evolution of Japanese Animation/VFX」では、『白蛇伝』、『エースをねらえ! 劇場版』や『AKIRA』といった日本のアニメを形作った作品から、日本のアニメの進化を見せる作品(1年以内に製作)が上映されます。

『プロメア』の脚本を手がけた中島かずきさんは、「日本で人気の応援上映の楽しみ方を世界にも伝えられる」と、同映画祭でアニメがたくさん上映されることを楽しみにしている様子。シンプルに見えるけれど、背景などには最新技術が結集されているとのこと。


© 2019 Shochiku., Ltd.

役者と歳を重ねてきた『男はつらいよ』シリーズ。
不思議な色合いを持った作品だと感じてもらえたら。

ワールドプレミアで上映されるオープニング映画『男はつらいよ お帰り 寅さん』は、新しく撮影されたものと、4Kデジタル修復されたシリーズ映像を編集して製作された傑作。山田洋次監督は、「50年経ったんだなとあらためて感じた。それしか自慢がない(笑)」と会場を笑わせ、これまでの49作品から使いたかったシーンは「色々あった」といい、悩みに悩んだそうですが、編集作業はとても楽しみでもあったとか。生前、黒澤明監督が、「カットのつなぎ目に、魔法が働くんだ」と言っていたそうで、「自分にもそれを感じた気がした」と山田監督。


山田洋次監督


俳優を入れ替えることなく、俳優自身が歳を重ねながら演じてきた『男はつらいよ』シリーズ。「50年やってきた、このような作品はこれまでになかった」と山田監督が自身をもって届ける最新作。「寅さんを見たことがある人も、見たことがない人も、とっても楽しくて不思議な色合いを持った作品だと感じてもらえると思う」と力強く話しました。

また、第32回東京国際映画祭のフェスティバル・ミューズは、広瀬アリスさんに決定。残念ながら会見当日は舞台公演中のため、広瀬さんの登壇はありませんでしたが、フェスティバル・ミューズとして選ばれた時の想いや、レッドカーペットへの意気込みをメッセージ映像で語りました。普段から映画を見るのが大好きという広瀬さんは、同映画祭で特に楽しみにしているのはアニメ。「日本はアニメがとにかく強いと感じます。会期中に2~3本は見たい」とのこと。

さらに、今年は大林宣彦監督が特集されます。2年前に手がけた『花筐/HANAGATAMI』、20年振りにふるさと尾道で撮影したという最新作『海辺の映画館―キネマの玉手箱』がワールドプレミアで登場。そして尾道三部作と計5本が上映されます。

現在盛り上がっているラグビーW杯、来年の東京オリンピック・パラリンピックの開催で、日本への注目はますます増していきそう。その中で、日本の映像文化を再発見・再認識できればという想いが込められた今年の東京国際映画祭。世界からやってきた映画を通して、秋を楽しんでみませんか?

第32回東京国際映画祭
期間:2019年10月28日(月)~11月5日(火)
会場:六本木ヒルズ、EXシアター六本木(港区) 、東京ミッドタウン日比谷 日比谷ステップ広場(千代田区) 他
http://www.tiff-jp.net 

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(2019年10月08日更新)
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