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【映画】前夜祭に注目のスウェーデン監督来日!トーキョーノーザンライツフェスティバル2019(2/15迄)



2月9日(土)より、渋谷ユーロスペースにて、毎年恒例の北欧映画祭「トーキョーノーザンライツフェスティバル2019」が開催されています。

その前日となる2月8日に、ボルボスタジオ青山にて、前夜祭が行われました。今回上映中のスウェーデン映画『アマチュアズ』(2/13 14時、2/15 19時)、『イート・スリープ・ダイ』(2/13 11時半、2/15 21時10分)を手がけた、今注目のガブリエラ・ピッシュレル監督が来日され、『マイ・アーント・イン・サラエボ』(2/13 21時20分、2/14 16時半)と同時上映の短編『レフュジー532』のプロデュ-サーで脚本家のキーナ・オーランダーさん、撮影のヨハン・ルンドボルグさんの3名を迎えてのトークで盛り上がりました。

ガブリエラ・ピッシュレル監督は、ボスニア人の母とオーストリア人の父を持つ、スウェーデン生まれの移民2世。長編デビュー作『イート・スリープ・ダイ』では、ベネチア国際映画祭批評家週間にて観客賞を受賞。さらに、『アマチュアズ』では、ヨーテボリ映画祭で最優秀ノルディック映画賞を受賞するなど、経済的、文化的格差、人種差別といったデリケートな題材を、誠実な視点で描く今を代表する監督として脚光を浴びています。



日本に来られて嬉しいとガブリエラ監督。ヨハンさんは、山形ドキュメンタリー映画祭で来日経験があり、今回が4度目。熊野古道や金沢にも行ったことがあるとか。プロデューサーのキーナさんは今回が初来日。渋谷に滞在しているそうで、「若い人ばかりで、高齢者や小さい子は一体どこにいるんだろう??」と疑問に思ったとか(笑)古い建物があると思えば、新しいものも混ざっていて、建物が面白いなと感じたそう。

日本にずっと興味があったというガブリエラ監督から素敵なエピソードが飛び出しました。なんと、15歳のときに日本人のペンパルがいたのだそう。一度も互いに行き来したりはないそうですが、25歳まで10年間もペンフレンドの関係が続いたそうです。(いつか会えたらいいですね!)

『イート・スリープ・ダイ』は3人が関わった作品

移民2世という監督の目線から労働者階級の強い女性を描いた、今回TNLFで上映中の作品『イート・スリープ・ダイ』。3人がそれぞれ手がけた作品は、『アマチュアズ』、『イート・スリープ・ダイ』、『マイ・アーント・イン・サラエボ』、『レフュジー532』(※)の4作ありますが、その中で、3人全員が関与している作品が『イート・スリープ・ダイ』ということで、この作品を中心に話が展開されました。これは、食品会社をリストラされた女性の転職先探しの日々を描いた物語。2013年のスウェーデン・アカデミー(グルドバッゲ)賞の主演女優賞、作品賞、監督賞、脚本賞を獲得したガブリエラ監督の長編デビュー作です。

この物語を作ったきっかけ、どこから着想を得たかというと、主人公と同じく、ガブリエラ監督自身も移民という背景が大きく影響しています。ガブリエラ監督の両親は、より良い暮らしを求めて70年代にスウェーデンに移住。母親は母国で4年しか教育を受けておらず、監督自身も菓子を詰める工場で働いていたこともあったそうです。しかし、スウェーデンは無料で平等に教育が受けられる環境。映画監督になる教育を受けることにした監督は、そういった自身の経験から、労働者階級の強い女性を描こうと思ったのだとか。

最新作『アマチュアズ』も、『イート・スリープ・ダイ』も田舎街が舞台。今も昔も、スウェーデンの田舎には移民たちが多く住んでいるとか。都会にはない、そこでの交流を描きたかったのだそうです。

(※)『レフュジー532』・・・14分の短編映画。戦争難民としてスウェーデンにやってきたゴラン・カペタノビッチ監督作。『マイ・アーント・イン・サラエボ』のプロローグ的な作品。一人で難民としてきた男の子を描いた作品。

日本でも公開された『ザ・スクエア 思いやりの聖域』のリューベン・オストルンド監督をはじめ、続々と世界で活躍する監督や作品が登場するスウェーデン。日本ではスウェーデン映画がとても評価されていて嬉しいとのことですが、「スウェーデン映画界は常に危機的状態ですよ」とヨハンさん。

地方自治体が映画製作を支援することもあったりするそうですが、なかなか予算などの面で大変だとリアルな話も。(ちなみに、彼らの作品はものすごく低予算で製作されているそうです)それでも、「お金も大事だけど、いい内容が大事」と締めくくってくれました。

リリースしたてホヤホヤの情報も!2019年公開予定の北欧作品

配給会社さんより、北欧映画ファンに嬉しい耳より情報!北欧区でもご紹介済み&今後ご紹介する作品もあります。どれも気になる!

■デンマーク『THE GUILTY/ギルティ』(2/22公開)
■ノルウェー『ウトヤ島、7月22日』(3/8公開)
■アイスランド・フランス・ウクライナ『たちあがる女』(3/9公開)
■フィンランド『アンノウン・ソルジャー 英雄なき戦場』(6/22公開)
■アメリカ・セルビア・モンテネグロ・マルタ『パピヨン』(6月公開)
※TNLF2019でも上映されるデンマーク映画『氷の季節』のマイケル・ノアー監督作。『ボヘミアン・ラプソディ』のフレディ・マーキュリー役を好演したラミ・マレックも出演。
■アイスランド・デンマーク・ポーランド・ドイツ『アンダー・ザ・ツリー(仮)』(8月公開)
■フィンランド『トム・オブ・フィンランド』(2019年夏公開)
■スウェーデン『BORDER(邦題未定)』(2019年秋公開)
■デンマーク・スウェーデン『Unga Astrid(邦題未定)』(12月公開)

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まだ間に合う!トーキョーノーザンライツフェスティバル2019へ!


2019年のトーキョーノーザンライツフェスティバルは、日本・フィンランド外交関係樹立100周年を記念してフィンランドにスポットを当てる特集のほか、厳選された秀作が一挙15作品上映されます。また、恒例となっているアイスランド音楽イベント、アイスランド写真展、ワークショップやトークイベントなども。お見逃しなく!



▼トーキョーノーザンライツフェスティバル2019
映画に音楽!北欧LOVEな映画祭!トーキョーノーザンライツフェスティバル2019(2/9-15)



 


(2019年02月14日更新)
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